銀の魔術師と妖精死譚

3.手紙 01
狭霧神社の慧、及びあかりに

お前たち外の人間にとっては、俺からの連絡が行くことは迷惑だろう。
そのことはわかってる。だが、そのことについての議論は、会ってから後にしたい。

伊勢山で内部闘争が勃発した。
今は内部だけで争っているだろうが、後々お前たち2人にも波及するだろう。
原因は叔父の反乱。
それだけならいいんだが、神舞の戦力を危険視し始めた師範がそこに混ざっている。
慧、あかり、今後の展開がわかるな。
師範が叔父と組んだということは、神舞以外の武力は全て的に回ったと同義だ。
我々も嫌われたものだな。
本家筋は一応抵抗を見せているが、大婆様がそろそろ危ないからどうなるかわからない。

俺は今囚われの身だ。唯一の封じ手を使われては、さすがの神舞と言えども形無しだったな。
嫌がらせには慣れているし、奴らに殺すほどの意思が見られない。
だが、このままで居るつもりはない。本家も心配だ。
2人が伊勢山嫌いなのは知ってる。だが、この先に起こることを予測して、今回は動いてもらえないか。
俺の身柄が自由になるだけでもいい。
そうすれば、内部だけで闘争が続くように俺が抑える。
頼む。

今は座敷牢にいるが、場所を移されるから次はどこにいるかわからない。
信太達によると、錠には呪と装備が万全。
師範かその取り巻きが見張り、巡回をしているようだ。

迷惑をかけたくはなかったが。
すまない。

2月某日 伊勢芳史