銀の魔術師と妖精死譚

2.赤い人形 02
「ヒトガタの紙? ――いや、知らない」
「気が付いてないだけかもしれないけどね」

それどこで見たの? とあかりが首を傾げた。
「そこの交差点の植え込み」
もう一つはどこだったかはっきりとは思い出せないが、駅近辺だったと思う。
夏葵がそういうと、あかりは難しい顔をした。
「学内じゃないと、正直どうやって情報収集していいかわかんないわよね……そういうのが丁度流行する年代とはいえ」
確かに、おまじないとかが流行する年齢として真っ先に思い浮かぶのはティーンズだ。
だが、夏葵やあかりの周りには、こういうことに傾倒するタイプがいない。
その上、香葵を除いて交友関係はかなり狭い。

「中等部だったら朋也巻き込めば、全体の傾向つかめると思うけど」
「大学なら兄貴だけど、学部またぐとどこまで集まるかわからないな」
「問題は公立校かな」
平瀬には複数、広範囲に公立小中学校があるが、全くと言っていいほど縁がない。
「地元民だろ。情報網はなくても交友関係くらいないのか」
「ないない」
あかりも利も完全否定する。
二人とも中等部からの持ち上がりなのだ。交友関係は自然と学内に限定されてくる。
道場の子供たちは年下すぎる。
小学校時代の交友関係も狭く、疎遠になって久しい。
「あとは普通科だな」
「いくら香葵がフレンドリーでも普通科は無理じゃないか」
「あーそっちは俺が」
生徒会室に居眠りをしに行けば、自然と耳に入るんじゃないかと考えている。
「ならこっちは外部調査でもする? マックとかファミレスとかで」
「は?」
「いや、放課後行けば時間持て余してる女子達がいるでしょ」
「あーそうだな」
「……そんなもんか」
「そんなものなのよ」