銀の魔術師と還りし人々

18.霊視者 02
2日後の午後、やっと夏葵は登校してきた。
登校というより、5限開始15分後に乱入してきたという方が正しい。
それを認めた利とあかりは授業が終わるとA組とB組の担任に交渉をしに行った。
といっても、田宮は「おおいいぞ」とありえない了承を出した。
ということでホームルームは速攻終わり、あかりと利は教室を飛び出した。
荷物と夏葵の回収に出てきた香葵の前を通り過ぎる。
1-Aは予想通り、まだホームルームをやっていた。
「でもどうやって連行する」
「サイド固めてちょっと面貸せ」
「お前いつの時代の不良だ?」
いや不良違うし、とあかりが否定すると、がたがたと椅子を立つ音がし始めた。
終わったようだ。
あかりと利はまったくの躊躇もなしに突入すると1年生は仰天した。
校内の有名人が突如入ってきたらそれは驚くだろう。
「矢島ぁ!」
「え、あれっ、二人ともどうしたの!?」
「今からちょっと面貸せ。――掃除当番? 私の顔に免じて許してくれない?」
あかりが無茶をいい、利が引っ立てて矢島を教室で確保した。
「え、ええ!?」
「いいからいいから」
そういうとごった返す昇降口を突破した。



「――は? 神社だ?」
「頼むから! おれはあかりと利に殺されたくないから!!」
すこぶる機嫌の悪い夏葵を何とか神社に引っ張っていく。
泣き落としているようなものだが、堕ちてくれないと香葵は本当に泣く。
あかりの鉄拳は痛いし、利の憐れむような蔑むような無言の目は怖い。
何より控えに駆り出された慧に逢おうものなら……笑顔で針の蓆を作ってくれると信じている。
「そうか、なら死ね」
「止めてぇ!!」
香葵は握力だけを頼みに夏葵を神社に引っ張っていった。