銀の魔術師と還りし人々

14.害獣駆除班 03
昼休み、5分もしないで夏葵が舌打ちをした。
毒気に当てられ続けたクラスメイトがびくりと震える。
うわー、と利は内心悲鳴を上げた。
いくら慣れている利も「これはないわ」と思っていたのだ。他は恐怖だろう。
席を立った夏葵は教室を出ていく。
入れ違いに入ってきたのは矢島だ。

矢島は不思議そうな顔をした。
「…………」
利は何とも言えない顔をあかりに向けた。
あかりはあきれ顔で視線を寄越す。
視線が出入り口に向き、軽く手を挙げられる。
頼んだ、ということだろう。
利は矢島に答え、香葵が来る前に教室を後にする。
色は目立つが、小柄で隠れがちな夏葵を探す。
いた。階段だ。
利は足早に追った。



それにしても開口一番「何で来た」はないだろう。
屋上は日差しが強い。
「いやその……悪い」
反射的に謝った。
「……まあいい」
夏葵が日陰に陣取る。
「どうせだから段取り決めとくぞ。あかりに伝えといて」
「オーケー」