銀の魔術師と還りし人々

14.害獣駆除班 02
嫌な気分を引きずって登校すると、案の定、夏葵が教室で毒気を振り撒いていた。
ここの所、夏葵は機嫌が悪い。
それが今日は最悪の域を超えて振り切れている。
「……夏葵、早いな」
「…………」
夏葵は無言で、下から視線を投げてよこした。
「あの……さ、なんか、組合から」
「ああ来てるぞ」
やっぱり。
利はため息を吐いた。組合の奴はどうしようもないらしい。
成員18歳以上の規則はどこへやら。
「あのー……兄貴が、夏葵に任すって言い出したんだけど」
夏葵が目を眇めた。
尋常じゃなく眼光が鋭い。これでは本職顔負けだ。
しばらく利を超えた先をにらんでいたが、夏葵はため息を吐いた。
「迷惑かけたからな……仕方ない」
納得はしてくれたらしいが、毒気は密度を増すばかりだ。
利は口を引き結び、席に着く。
荷物をチェックしながら、時折夏葵の様子をうかがう。
夏葵は外をにらんでいる。
空はそんなの関係ないとばかりに、気持ちよく晴れていた。