銀の魔術師と還りし人々
fragment3懐かしい。
少年は色素の薄い髪をかきあげた。
今日は学力確認の試験で、クラスには入れないらしい。
まあ……。
学年が異なろうと、クラスが異なろうと、会いたい人の居場所は知っている。
彼はのんびりとシャープペンをノックすると、解答用紙に名前を書いた。
さらさらと英語を解答し、ページをめくる。
計算、論述、やがてそのペンがぴたりを止まった。
「うーん、しまったなぁ」
古典の解答用紙にシャープペンを転がす。
読めども読めども頭に入ってこない。
「まずったなあ」
さっぱりわからない。それでも解答を受けなくてはならないだろうか。
のんびりと髪をかき回す。
「わからないものはわからない、と」
彼は放棄して目を閉じ、天井を仰いだ。
今朝の光景を思い出した。
――嫌なモノだ。