銀の魔術師と還りし人々

11.エピローグ 01
石に腰掛け、灰を崩していく。
木屑木屑木屑。掃除をして修繕作業でさらに木屑が出てくる。

あのあと武人衆が静まり返って数分足らずで羽月が里に飛び込んできた。
白木の捕縛から逃れた者を追ってきたらしい。
そして奥ノ宮で腐り落ちた小田原だったものを見て一言、
「あれ、小田原一樹? 何、今度は他人を利用してなっちゃんを潰そうって魂胆だったの?」
何やらよくわからないが、それが大半の武人衆にはとどめになったようだ。
一部くすぶっていたらしいが、人間で勝てると踏んだのだろう。あかりを人質にしようと性懲りもせずに思ったらしく、骨折の憂き目にあった。
それで完全に沈黙である。

今、男手を駆り出して家の修繕をしている。
監督しているのは飛翼の姉だ。
夏葵はのんびりと火の番をしている。
と、そこにあかりが寄ってきた。
濡れ紙に包んでいるのは芋か。それを火に放り込む。
「利からメール」
「あー……とばっちり食って機嫌悪いだろうな……」
「屋根に刃物1本刺さった以外の物的被害はないって」
被害があったからには睨まれるな、と思った。
「……だれが弁償するんだろうなー、それ」
全くよね、とあかりが頷く。
「あーただ、祭りが近づいてるし後片付けで遅れそうだから早く帰って来いって」
「ん、オーケー」
ゆっくりと立ち上った煙は空にかき消された。