銀の魔術師と還りし人々

8.再襲 04
上空で幾人かの烏天狗が吹っ飛ばされた。
「兄貴、それ手抜き」
「結界が邪魔で俺の手じゃあ届かない」
それもそうだ。
敵も同じことに苛立つのか。
突如として刃物を投げつけられる。
狙いはここしか考えられない。
慧が木刀を引っこ抜き、投げ落とされたそれを弾いた。
次々に投げ落とされる刃物。
危険なものは慧が弾き飛ばしていくが、その顔が怖い。
狙い自体が狂っていた1本が屋根に突き立つと、慧は額に青筋を浮かべた。
雨漏り確定。誰が修繕費用を出すんだ、という呻き。
「修繕もそうだけど、これ誰が回収するんだ」
ざっと見積もり20本もの刃物。銃刀法違反だろうこれは。
「……組合に処分させる」
「なるほど」

あの組織もたまには役に立つものだ。