銀の魔術師と還りし人々

7.烏の棲家 02
満月が目立ったらしい。あの金髪だ。
しかも飛翼がいるということで完全に目を付けられた。
行く先出る先刺客が湧いてくる。
こんなにいたの? とあかりが感心したようにつぶやく。
「ま、正義は正面突破が相場よね。奇襲は悪が仕掛けるもの」
あかりは出会い頭の武人衆を殴り飛ばした。
鈍器で頭をやられたら普通死ぬのだが、あかりそこまで斟酌していない。
数が多いので夏葵も結構容赦なく蹴り飛ばしているが。

臭いがひどい。近いか。

「このあたりのどこかです!」
「どこかってどこだ――!!」

正確な場所がわからない飛翼にあかりがキレた。
もう片端から板戸を開け放つ。全部開ければどれかが正解だ。
案内の役目を終えた飛翼は満月とともに武人衆の食い止めに入る。
棟が大きい建物。
夏葵は目に付いたそこに駆けた。
保証などないが、そこだとわかった。
勢いよく開け放つ。



強烈な腐臭が鼻を突いた。