銀の魔術師と還りし人々

fragment1
はー……と、利は深く息を吐いた。
うるさいのが去って、やっとの安息である。
花衣と紅衣がやっということを聞くようになったのに、そこにでかいのが乱入されるとたまったものじゃない。

昨日夏葵が引き取りに来るまでは地獄。
引き取りに来たときは阿鼻叫喚の地獄絵図。

24時間以上休憩を取っていたことになる。
そろそろ何かしないとまずいよなーと、遠ざかる意識の中でそう思う。
もう一度寝たい。
が、実際にはそんなの許してくれる訳がなくて。
ぱたぱたぱた、と軽い足音が二つ。
「としー!」
「あー……?」
日が傾いて薄暗い居間は表情が読み取りにくい。
「なんかへんなのいる!! そとさ!!」
「外に変なの?」
利が起き上がりながら確認した次の瞬間



ギャアギャアギャアギャアギャアギャア

――ず…………ん



烏の鳴き声に、山が反応した?
馬鹿な。
利は家から飛び出し、上空にとどまっているものに気付き息を呑んだ。
数十もの、異形。

ギャアギャアギャアギャアギャアギャア

「飛翼を……追ってきたのか」
山の結界が大きく震えた。