銀の魔術師と還りし人々

6.2翼の雛 05
「どうする?」
「突撃してトップ2傑を叩き潰せばいい」
夏葵が実に率直に方針を固めた。
異形同士の抗争に関しては組合は何も言わないことが暗黙の了解である。
夏葵はどうかわからないが、あかりも香葵も健一も含めて、喧嘩を売られた場にいたから参戦する権利があると夏葵は言う。
道案内は飛翼にさせる。
一発ぶち当てるつもりの夏葵は当然突撃だ。
「母様はきっと動かないよね。おそらく健一さんも」
「兄さんは残るか?」
「向いてないから」
白木は控えめにそういった。
あかりは言うまでもなく突撃組である。
「行くのに足が足りないわね。あたしも行くわ」
部屋の前をとばっちりで壊された恨みもある。
「お、俺は」
「留守番に決まってるでしょ」
「お前来て何が出来る」
あかりも夏葵も容赦ってものを覚えてよと香葵が泣き言をこぼす。
白木が何やら慰めているが、突撃組はもう別の話になっていた。
正面切って喧嘩を売るのは得策ではない。いきなり本命を叩く。一応なぜかを知っておいた方がその後の武人衆が楽じゃないのか、等々。
「吐かせるなら術で何とかなる。尋問なら――あかり、できるだろ?」
「一応程度はね」
今までの対象が身内だけなので保証はできないが。
それでもいい。できるなら何でもいいと夏葵と満月は口をそろえた。

「で、出発はいつにするの?」
「――明日」