銀の魔術師と還りし人々

4.黒羽根 03
「いつもはこういう時にぱっと夢見るのがあんたよね」
「夢見て原因が分かったとしても相手がわからなきゃ元も子もない」
あーそうだよねーそうだったーとあかりと香葵は口をそろえた。
とりあえず木屑を腐らせ続けるのも問題がありそうで、火にくべてしまおうとかき集めている。
「……っ」
木屑を触っていた香葵が、ふと手を引っ込めた。
指先が赤く炎症を起こしている。
焼けている。呪力にやられたようだ。
「香葵、それ悪化だけはさせるなよ。これが原因なら指先壊死とか有り得るぞ」
「消毒液でもかければいい?」
「あほか。兄さんに見てもらえ」
その兄、白木はひどく眠そうだが眠れない様子で庭と森の境をうろついている。
山の様子が気になるらしい。
「兄さんが倒れたらこの家立ちいかなくなるな」
「それは、確かに」
「あんたたちがやればいいじゃない。――夏葵、マッチ」
あかりは箱ごと受け取ると、すぐにマッチを擦った。
火薬の臭いがやけに鼻につく。
木屑の山は勢いよく燃え上がった。