銀の魔術師と捕縛の糸
spinoff-健一-静寂が染みついた家で、凪健一は今日も書斎に籠っていた。
暇を持て余して本棚を整理していると、そこからアルバムが数冊出てきた。
ここ数年触れていないが、もうかなり角や折り目が弱っている。
背表紙だけが光に焼けている。
小学校の卒業アルバム、中学校の卒業アルバム、高校の卒業アルバム、大学は見当たらないが、『univ1-4』と書かれた大学4年間のアルバムが混じっている。
他のはおいて、それをめくる。
「……小田原」
少し前の文化祭以来失踪した小田原和樹。
健一と共に写っている写真がある。
二人ともなんの屈託もなく肩を組んで笑っている。
学部こそ違ったが、大学は同期だった。
大学にいた間だけ――二人揃って笑いあえた最後のころだ。