銀の魔術師と捕縛の糸
20.降り立つモノ 01雷が落ちたように衝撃が走った。
「……結界が」
壊れて行く。
霧が薄れて、術式の効果も消えて行った。
体育館の結界も壊れていることを知った。
あらゆる術式が崩壊していく。
ルーンの棘も粉々に砕けて散った。
単一の呪力がこの場を押さえこんでいる。
――知っている。
この強すぎる呪力に、夏葵は覚えがあった。
まさか、何で、
――ここに、いるはずが
校舎の影が不自然に盛り上がっている。
誰かがいる。
月を背にしているせいか、よく見えない。
でも、何か。
何か違う。
わたしたちとは違う。
だが、この呪力だけは覚えがある。
似ているものが、ある。
――夏葵?