銀の魔術師と捕縛の糸
fragment4そろそろ寝ようかと思っていたら、携帯が鳴った。
こんな時間に一体誰だ。
真っ先に思い浮かんだのはあかりで、利は嫌な顔をした。
鳴りやまない携帯を仕方なしに確認すると、その文字列は予想に反して夏葵からの着信を伝えている。
予想が裏切られても嫌なことには変わりなかった。
何のつもりた、何の用だ、何をしでかす気だ――代わり映えもない言葉のどれを言ってやろうか、と思いながら一応、着信に応えた。
「……何だよ」
『機嫌が悪いな』
第一声から不機嫌そのものの利に、夏葵はどこを吹く風といったふうだ。
『ちょっと頼みたいことがあってな』
「断る」
『他言無用でな』
「だから俺断るって言っただろ……」
『まあ聞けって。俺が掛けたことから他言無用だからな』
「切るぞ」
『切ったら押しかけるけどいいんだな?』
なんなんだよ一体と、利は舌打ちをしながらそう思った。