銀の魔術師と捕縛の糸
16.非日常 05魔法陣が壊されたか。
やはり気付いたか、と小田原は何の感慨もなく息を吐いた。
あのクズは壊されるか完全に放置されると踏んでいたが、そのやり口はいっそ徹底していた。
だが、これはそうはいくまい。
小田原は手元の紙に次々と印を書き込んでいった。
これはまだ仕掛けていない。まだ仕掛けるつもりはない。
最初から長丁場にするつもりはなかった。
長丁場となれば夏休みに突入する。そうすれば逃げ切られる。たとえ休み明けに始めたとしても、夏葵は力を蓄え、装備を整えてくるだろう。
そうすれば小田原に勝ち目はない。
今やらなければ。
そう、今だ。
今、
今、殺らなければ。