銀の魔術師と捕縛の糸
7.暴発 03――暴発。
その通りだった。
―――――――――――轟
鳥の激突で、また、結界が震えた。みしみしと音ならぬ音が鳴る。
利は舌打ちした。
――如此所聞食ては罪という罪は不在と科戸の風の天の八重雲吹放事の如く朝の御霧夕の御霧を朝風夕風の吹掃事の如く――
「ねえ、あの翼みたいな呪力の塊みたいなの、結界内部で隔離とかできないの」
「俺にそんな小器用なまねできるかよ」
苛立ったあかりの声に、舌打ちをつけて返事をする。できるならやっている。
「じゃあ中にわたし入れて」
「はあ!?」
死ぬぞ馬鹿、と途中まで言いかける。
「夏葵だって殴れば起きるでしょ!」
「夏葵が起きる前にお前が死ぬだろ!」
まずい、と利の脳裏で警鐘が鳴った。どちらも冷静を欠いていてどうにもならない。
「――組合だ」
利は吐き捨てた。
「夏葵の親が来る。来てから組合に連絡だ」
本当は、組合に要請したくなどない。組合は下手をしなくても、殺して事態を収める。
あかりは血が出るほど唇を強く噛んだ。
押し黙ったまま、あかりは身をひるがえした。
結界のギリギリ手前に、夏葵の携帯が落ちている。それをかがんで拾い――
「こんの…………夏葵の馬鹿が―――――――――――――!」