銀の魔術師と捕縛の糸
7.暴発 02結界に封じられて、初めてその全貌を知ることが出来た。
黄金の、巨大な姿の、それは
「鳥…………?」
後ろを振り返ると、あかりがいた。
近距離にいたせいで吹き飛ばされたのか、壁際で肋を抑えている。
「あかり、お前大丈夫か」
「ん……だい、じょぶ」
あかりは利の方を見向きもせず、真っ直ぐ結界の先を睨んでいた。
「あれ、夏葵でしょ……何よこれ」
また、鳥が激突した。
また、結界が震えた。
あかりがふらりと立ち上がる。
黄金の鳥を見上げれば、そのいたるところに魔法陣が絡みついている。
結界に大鳥が激突する。
その姿はもがき苦しんでいるようで。
体育館の静けさと不釣り合いで。
――そう、静けさ。
はっとして利は周りを見回した。
クラスメイトと、体育教師は――茫然自失。結界の中に取り残された奴もいなければ、大けがをした奴もいない。
茫然自失であるなら、まあよし。
「誰が、こんな」
「あかり、待て」
「夏葵、夏葵、馬鹿が……ふざけるんじゃないわよ」
あかりの目が凶的に鋭くなる。
キレてる。
「何が具合悪いよふざけるんじゃないわよ、具合悪いなんてもんじゃない、こんなの――」
―――暴走じゃないの!!―――