銀の魔術師と捕縛の糸

5.纏わりつくもの 02
「これでいい?」
「…………」
携帯を見せてくるあかりに、目線だけ向けた首肯した。
「……死にそうな顔してますねー。持病は?」
「……ない」
「でしょうね。横になったら?」
夏葵は無視した。
寝転がると振動と音の反動が身体にくるのだ。

そうでなくても、
澱のように疲れがたまっていく身体、
血管に鉛を流し込んだような重たい手足、
纏わりつく、呪力的な何か、

――何が
とぎれとぎれの思考で、意識をぎりぎりのところで保つ。



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身体の中で何かがざわめく。
重たい体を乗っ取ろうとするかのように。
纏わりつくものに引き寄せられたように。

身体に、何かが。