銀の魔術師と捕縛の糸

4.不調 03
「……はっ……」

息が上がる。
膝に手をついた。
嫌な汗が流れるような感覚がある。
「夏葵、お前本当に大丈夫か」
さっきまで脇をかけていた利が膝をついて覗きこんでくる。

体育だった。
年が変わってからはずっとバスケットボールをやっている。
このバスケットボールを夏葵が得意としているのは周知だが、不調のせいか今日は動くのがつらい。
利の問いかけに、大丈夫とは返せなかった。
ゆっくり呼吸を繰り返す。
もうゲームは終わっていた。
手を膝から離すと、軽い立ちくらみがした。
ふらついたところを、利に引きずってコートから連れ出される。
「お前具合悪いんだろ。無理すんな」
とりあえず頷いておく。
「お疲れ―。夏葵カッコ悪かった」
女子グループから離れてボールをいじっていたあかりが気配で振り返った。
「その青いの、寝かしておけば?」
「……そんなに青いか」
「うん」
大きく頷いたあかりに続いて、利が頷く。
「先生に見学になるよう言っておくから休んでろよ」
無言でうなずく。
意識していないと、呼吸が浅くなってくるのだ。
床に座り込み、壁に背を預けた。