銀の魔術師と捕縛の糸
4.不調 02夜中、ぽっかりと目が覚めた。
部屋は豆電だけを残して、闇に沈んでいる。
寝起きで身体が重い。
ぼんやりと霞がかった頭は、久々に眠気を訴えない。
起きる気にならないのは、よくわからない。
調子がよくないからか。
夏葵は倦怠な動作で寝がえりをうった。
――何かやろうか。
ベッドヘッドに置いてある時計は午前3時を示している。
――調べるか。
そう考えて、すぐにあきらめる。身体に巣食う倦怠感の方が強い。
――寝よう。
また眠くなる日があるはずだ。体力も戻ってない。
布団を引っ張り上げる。湿気を含んで少し重い。
――寝よう。
そして、夏葵はその日、まれなほどの不調を味わった。