銀の魔術師と孤独の影
spinoff-慧- 自己満足の話のんびりと廊下を歩く。
微かな呪力がところどころに残っているのが記憶を慰撫する。
あの子は、慧がこうしてきているのを知っているだろうか?
――知らなくてもいい。
所詮これは自己満足のレベルだ。
逢う気があるなら、降霊術でもなんでもある。そこまでする気はない。
夜の闇が優しいのに甘えて、
静寂が容認してくれるのに甘えて、
もしもその自己満足が形を持ったなら何てことは考えないで、ただ、優しさに甘える。
本来甘えるべきものではないのに。
自己満足と、自分で分かっていればいいと慧は思っている。
角を曲がった。