銀の魔術師と孤独の影

20.エピローグ 02
授与所の中が珍しいのか、夏葵は上がりこんであちこちを見ていた。
本殿でないので別にあかりもそれをとがめはしなかった。もしかしたらもう見てしまったかもしれないが。
「はい、ありがと」
夏葵は顔を上げると無言で受け取った。
そしてふと笑った。
「何よ」
「いやいや、なんでもない」
「また?それどうにかならないの?」
悪い悪いと言いながら、夏葵の顔は笑っている。
あかりは何よ何よとしつこく強請った。

誰かがそこに来るまで、ずっと――――