銀の魔術師と孤独の影

19.枯桜の下で 03
「起きたか、寝坊介」
「ぅ、何……?」
「あ、香葵――」

そういえばいたっけ、とばかりに3人は振り返った。置き去り野ざらしにされていた。
「香葵も起きた事だし、香葵も含めて片づけをするか」
「俺を含めて……?え?何それ」
夏葵はしれっと無視すると、足元に散らばった頭蓋骨の破片を拾い始めた。
「利、あんた校舎出てくる時、ちゃんと閉めてかた出てきた?」
「ああ。校内に入ったらまずいかと思って」
そう言いながら、二人も屈んで粉々の骨を拾う。
冷たい風が吹いた。
くしゃみが出た。動きやすさを重視してあまり着こんでいないのだ。
「そんな格好してるからだ」
呆れた夏葵の声。
続けて、黒のコートが頭から被せられる。
着てろ、と夏葵が呟く。
「……………」
「なんだその仏頂面は」
あかりは口をさらにへの字にした。
「馬鹿って言ったことは不問にするわ」
「は?……ああ」
夏葵は骨片を始末しながら興味もなさそうに思い返したらしい。
「何だ気に食わなかったか」
「当たり前!」
言い放ってから気づく。
目の前にちらつく、

「あ…………。雪―――――」