銀の魔術師と孤独の影

18.しゃれこうべ 05
得物が地面を次々と打った。

オオォ………………
ゥオオォ……………………

吹き抜ける風に混じったのは、雪ではなく――桜。
影が実体を失って崩れていく。
視界を邪魔するものは、もはや何もない。
振り上げた腕を、やる辺もなく下ろした。
背後で、利の結界が解かれるのを感じた。
夏葵は――あかりは視線を上げて、その場に立ちつくした。



夏葵は、笑っていた。
桜の花散る闇の中、虚空にあるひとつの頭蓋骨。
カタカタと下顎が動いている。
夏葵が微かに頷いた。
まるでそれは、出来すぎた一幅の絵画のように。

「―――――」

薄い唇が微かに動く。
それを見届けたように、頭蓋骨が落下した。

轟………………………………………………………………



強風に耐えかねて、あかりは思わず目を閉じた。