銀の魔術師と孤独の影

18.しゃれこうべ 04
「ああ、お前が――」

――この禍気の元か。
ならば、この状況の元は――?

二重投射された世界に桜が舞った。
その中に坐す老翁の面影が、霞む。

「――おいで」



肩から先を切り落としてやると視界が開けた。
死屍累々とばかりの状況の全貌を初めて見た。
虚ろにさまよう影と、目的を持ってさまよう影と、もうひとつ。

――夏葵。
――そうだ、護衛。

影が夏葵の周りをうろついていることに気が付き、あかりは初めてのそのことを思い出した。
利は結界を張って凌いでいるらしい。それなら後だ。
足音を殺して影に近づく。
夏葵の傍の影は一定の距離を割らないでさまよっているようだ。そしてあかりに気づくと敵対行動を見せた。
――来い。

瞬間、強い風が吹いた。