銀の魔術師と孤独の影

17.嘆きの影 04
何かが見えた気がした。
グラウンドに渦巻く黒い影とは不釣り合いな色合いが、濃度の薄くなったときに覗く時がある。
だが、そこは――――――魔方陣で埋め尽くされた場だった。
あれは、香葵――?
だとしたら、秘密結社の儀式場と生贄さながらの光景である。

よくないものと、無垢なるもの。
白と、黒。
生と、死。

グレーが入り込む隙間など持ち合わせていないかのような、強烈なあり方。
その中に、夏葵は一直線に走って行った。
闇の中でも輝く銀髪がなびく。
何か、錯覚を覚えたような気がした。

闇と、光――――?