銀の魔術師と孤独の影

17.嘆きの影 03
意識が持って行かれそうだった。

オオォオオゥァ…………!!

間近が何やら騒がしいのに、意識が遠いせいで感覚すら麻痺していた。
暴力的に吹き荒れる呪力。
嘆き叫ぶモノたち。

オオオオオゥァア――――!!

体に衝撃が走る。
――ああ、これはまずいかも。

視界の明度が落ちる中、香葵はぼんやりとそう思った。
濃度を増す黒いモノがそぐそばにたくさんいる。
自分の周りを取り囲むようにしているものもいる。
どこかに駆けていくいくものもいる。
咆哮するものがいる。
喰らいあうものがる。

――ああ、まずいなあ。
死ぬかもしれない、と思った。
死ななくても、夏葵あたりに半殺しにされるかもしれない。
夏葵の罵声が脳裏で再生された――ような気がした。
――んー、とりあえず怒られるだろうなあ……
意識の終点が判然としないまま香葵は――堕ちた。



オオォォオオオゥァ――――!!
ォォォ………………!!