銀の魔術師と孤独の影
14.聖の森 04――――聖の社を囲む
――――森と山と大地が
――――鳴動するとき
――――災厄が訪れる
狭霧神社に伝わる童歌の一節。
「またこんな日が来るとはな……」
冬の寒空の下、利が低く呟いた。
それでも、死んだように眠る街には静かに響く。
「起こったっておかしくないことでしょ」
数歩先を行くあかりが冷めた声で返した。
あのあと、あかりと利は夜中の町に飛び出した。
酷く嫌な予感がした。
――大当たり。
鳥居をくぐり出た瞬間、あかりはそう低く呟いた。
鳥居を境に辺りに広がる禍気が夜の空気を侵蝕してた。
――ああ、何かよくないことが起きている。
鳥居の下で立ちすくんだ二人は、木枯らしに吹かれながらそう知った。