銀の魔術師と孤独の影
12.夢 02「それで、どんな夢だ?」
「暗いね。あと叫び声がやかましい」
それだけ、と夏葵が言うと二人とも変な顔をして同時に「それだけぇ?」と言った。
「まあ、何回かしか見てないしな」
「何? 繰り返し同じ夢見るの?」
「見るよ。――別に珍しいわけじゃない。潜在意識、抑圧された記憶……とか言われたりもするけど、そんなことでもなくても夢はけっこう繰り返し見たりする。傾向として、俺は魔術的な要素が絡んで来ると繰り返し見るようだ。だから気になった」
「そういえば、魔術的な見解もあったねぇ。夢も」
あかりが嫌そうに言った。不毛だ、と最後に付け加える。
夏葵はあかりの前半の言葉に頷いた。
「不毛かどうかは置いといても、多いのは事実だな。去年――か?パワースポットが魔術師の夢や意識に影響を与えるとか、脳波がどうとか……」
途中から利は嫌な顔をした。壊滅なのは化学だけではなく理科全般なのだ。
「脳波は知らないけど、呪力が凝っていたり残滓があったりすると夢や意識に影響を与えるのはずいぶん前からわかってることだしな。そう考えるやつがいてもおかしくはない」
「そう、だから――
だから?
視界が明度を落としていき、昼休みの光景は闇に沈んだ。
「だから提携して憑依のシステムも解明しようとしてるらしいけど。まあそうなったら同時に憑依する存在の解明もしようとか何とか考えてるらしいね」
汐崎がそう言ったことを、夏葵は知っている。
――そうか、これは