銀の魔術師と孤独の影

12.夢 03
――夢だ。



夏葵がそう認知した瞬間、静寂に閉ざされた闇の奥深くから叫びが響いてきた。

オオォォオオォォォ―――――――
ォオオオォォォォ――――――

ああ、
ミタマが、ないている。

――誰だ。
夏葵は目を閉ざした内にも有り続ける闇に何かを見た、気がした。
何か――誰かの思考が夏葵の中に流れ込んでくる。

ああ……、
ミタマが…………。

――これは、『ミタマ』の泣き声? ――『ミタマ』って何の……
夏葵はふと、眉をひそめた。どこかで聞いたことがあるはずだが。

――ふぅわり

…………?
夏葵の視界の端を白いものがかすめた。
いつの間にか目を見開いていたらしい。
白いものを探して軽く天を振り仰ぐと、白く儚く振り落ちるものが顔に触れた。
――雪か。
そう知覚した瞬間、空気の温度が下がった。いかにも夢らしい唐突な温度変化である。
――そう言えば、そろそろ降る時期だな。
夏葵の思考が完全に停止した。無心に雪の降り落ちるさまを見続ける。

オオォオォォォォォォ――――――
オォォォ――――――



……………………………………