銀の魔術師と孤独の影
12.夢 01「はい?」
「あ?」
夏葵は頭の後ろで指を組んだ。天を仰いで目を閉じる。
「気になる夢を見たんだ」
「――夢」
「そう。ちょっと気味の悪い夢」
うわ言のように言うと、あかりはひとつ頷いたようだ。
「組合指定の調べ物じゃないだけましね」
確かに。
その通りなので夏葵、利ともに口を閉ざした。
魔術師である3人が一応籍を置く「現代魔術師組合」という組織がある。
魔術師や魔術をを仕切っているその組織は、時に上層部の魔術師が周囲を使っていろいろ、何やらよくわかりたくないことをやっている。
2か月前の衝突も現代魔術師組合に事の発端があったようなものだ。
そもそも正員は満18歳以上のはずなのに、こき使われている夏葵は16歳と半年程度だ。指揮を執る上層部にとっては役に立てば誰でもいいのだろうが。
いずれにしても、下っ端にとっては組合からの指定でないだけで仕事がしやすいのは事実だ。
だから先ほど3人は安心したのだ。