銀の魔術師と孤独の影
9.その決勝は誰がために 04結局思いついた順に香葵に話した。
大丈夫かこいつ、と内心思いながら。
「……うん。ありがとう……」
体育館は闇と静寂に包まれる。もはや顔の判別をするのも難しい。
「結局凪は――」
「ん?」
「何のために、……いや、誰の指示で、あれをやったんだろうな」
「それはだぶん」
現代魔術師組合の上層部。
利も、そのことを分からずに言ったわけではなかったようだ。
体育館のスピーカーから重くチャイムが流れる。
「――帰ろう」
「……そうだな」
こうして、体育館が閉ざされると同時に、若い魔術師たちの戦いも終着した。