銀の魔術師と孤独の影

4+.逆探索 03
失態だ。貧血で倒れるなんて。

貧血の原因はわかりきっているから問題ない。今朝の朝食も香葵が作ったからだ。
もちろん抜いた。
その状態で魔術を行使したのがよくなかったのだ。
そしてそれに行き会ったのが汐崎あかりであることが、夏葵の苛立ちを倍増させる。
よりによって、同族の匂いがする人間に。
ある種の同族嫌悪だと自分で分かっている。
屋上へと続く階段への途中、夏葵は壁を軽く殴った。

――二度、同じ間違いはしない。

屋上のドアを開けた。