銀の魔術師と孤独の影

3.凪夏葵 02
田宮の後について廊下を歩く。
「うちのクラスは成績優秀な連中を集めたクラスでな、今年は入試で過去最高点を出した奴もいる。汐崎って女子だがな。委員長の浅井が次席で、あの二人がクラスを仕切っているんだが」
どうでもいい話を田宮はべらべらと話し続ける。
「まあでも、いつもの年なら運動オンチが大半なんだが、今年は元気な連中が多くてな。夏にあった球技大会も好き勝手にやってたくらいだ」
そう言って、ひときわうるさい教室に向かう。

「浅井!さっさと席に着け!お前たちもむやみやたらに騒ぐな!」
やいのやいの言う生徒に一吠えして教室にずかずか踏み込む。
同時に、あからさまな好奇の視線が集まる。

――慣れたな。
視線を軽く受け流し、いつも通りに踏み出す。この容姿に銀髪なので、出歩けばいつものことだ。
黄色い悲鳴か沈黙かになるとは予想していたが、今回は沈黙になった。
その沈黙のなか、変わらない様子で口を開く。
「えー、もう知っていると思うが今日からの編入になる凪夏葵だ」
田宮の口上をBGMにして教室内を軽く見る。
「席はー、一番後ろの席だ。浅井、しばらくの間いろいろとお前に頼む」
「はいはーい」