彼岸花の咲く川で
6.入口のはなし 02「ところでそこさ、」
餓鬼が骨だけになった箸を澪実に向けた。
「間欠泉湧くから危ないよ。そろそろじゃないの」
「そういう事は早く言え」
さっと場所を移動する。
「いや、当たり前すぎて忘れてたー」
餓鬼がきゃらきゃらと笑う。
「そうそう子供」
人の子が視線を上げた。
「2番目の橋なんだけど、あれそろそろ腐り落ちそうだよ。獄吏たち気づいてないみたいだから、誰かに言っといて」
「……またあそこ?」
「またあそこ」
「2番目の橋?」
俺は首を傾げた。
「通るから大丈夫」
「大丈夫なのか?」
「まだ獄吏が気づいてないから大丈夫でしょ」
人の子が立ち上がった。
「お、行ってらー」
「はいはい行ってきますー」
人の子はまっすぐどこかに向かった。
「ん、これだな」
人の子が橋げたから身を乗り出して骨組みを見ている。
「これが2番目の橋?」
「そう、入口から2番目の橋」
人の子は答えてから首をひねる。
「変なところ腐ってる……もともと腐ってたのに気付かずに使ったのかな」
それとも何か住み着いたかな、と人の子は一通り可能性を巡らせ、投げ出したらしい。
「いいのか?」
「俺は『2番目の橋がなんか危ないっぽい』って言うだけだから」
橋を渡る。
きしきしと嫌な音がする。
「帰ってくるまで持てばいいわけだし」
「それもそうだな」