夢殿

Breaker 04


それから、俺は思考に囚われた。



学校というのは、檻だ。
生徒という囚人に社会性や協調性を身につけさせるための、矯正の場である。

校則というのは、縛りだ。
檻の中にいる限りついて回る枷だ。
校則を破る、というが、それは檻の中にいるから取りざたされるのだ。

制服というのは、印だ。
学校という檻に囚われ、校則に縛られたものであるということを外に示すための衣装だ。

家庭というのは、檻だ。
そこを構成するものにふさわしくあるように矯正され培養される場だ。

家族というのは、縛りだ。
身寄りがいなくなるまでついて回る、少なくとも離別するまではついて回る枷だ。
そしてそれは家庭を構成するものにふさわしくないときに重くなってゆく。

帰省というものは、帰宅というものは、印だ。
それ自身が家庭という檻の中に収まり、家族という縛りに囚われていると示すための行動だ。

社会というのは、檻だ。
そこを構成するものにふさわしくあるように強要される巨大な檻だ。

常識というのは、縛りだ。
正常な思考回路を持ち続けている限りついて回る、個人と社会の枷だ。

行動というのは、印だ。
それ自身がどのように行動するかによって、社会にふさわしいかそうでないかを示すものだ。



そういうもの、なのだ。
おれはそう思った。

そしてその縛りは、ひたすらに鬱陶しい眼なのだ。
とてつもなく不愉快だ、と思った。