銀の魔術師と還りし人々
25.エンディング昨日も、あかりと利は欠席した。
片付けをして、休憩を取るという。
「結局なんだったわけ……あれ」
「さあな」
「さあなって、夏葵昨日占ってなかった?」
「…………見えなかった」
何も見えなかった。
いままでこんなことはなかった。
夏葵も不可解すぎて消化不良だ。
結局、あの幻影もよくわからない。
訊こうと思ったあかりは機嫌が悪いのと片付けで相手をしてくれなかった。
「あの二人を強請っても吐くとは思えないしな」
夏葵も言わないことがある。あの二人もおそらく同じだろう。
教室が何やらうるさい。
「だからいい加減に浸透圧覚えなさいよ」
「それができたらこんな苦労しねえよ!」
「ばーかばーかばーか」
「あああもういいよ夏葵に訊くから」
「……俺かよ」
何やら利とあかりの情けない言い争いが3階全域に響きわたっている。
浸透圧、ということは、1限の課題だ。
「俺、ぎりぎりまで余所で時間潰す」
「……迷惑かけたんだし、行ったら?」
「残り時間で浅井に浸透圧を教えるのは無理だ」
予鈴が鳴った。
悲鳴。
いつも通り過ぎる教室が戻ってきた。