銀の魔術師と還りし人々

17.捕獲者 02
「みんな、奇遇だね」

不自然な組み合わせだった。
あかりが柄を握る。
それに気が付いたのか、矢島が一瞬、目に影を宿らせた。
夏葵は袖の影に何かのカードを抜いている。
「矢島、……あんた何でここにいるの」
「ちょっと散歩」
「ふぅん……こんな時間にね。なら――あんたは魔術師?」
ぴん、と空気が張る。



「違うよ」



「……信じられんな」
夏葵が低い声で一蹴した。
「困ったな。本当なんだけど」
矢島はくせ毛に手を差し込んだ。
嘘を言っているようには見えないがわからない。しれっと嘘を吐く魔術師なんてどこにでもいる。
「そうだ、みんなは何を――この子を探してたの?」
「…………」
「お腹空いてるみたいなんだけど、どうしよう」
夏葵はちら、とあかりに、次いで利に視線を投げた。
夏葵は動かない。
香葵は困惑している。
あかりは柄から手を放すと、利と魔獣の回収を始めた。

矢島はふと首を傾げ、数歩前に出た。
目を細めて夏葵を注視する。
ゆるやかに緊張が小路に満ちる。
次いで視線は香葵に向けられる。
しばらくして、また夏葵に戻る。

「2……いや、3、か?」
わからない呟きを矢島がこぼす。
利は魔獣をつないだ鎖を引いた。あかりに鼻面を預けて甘えていた魔獣がひたひたと寄ってくる。
「契約かな……血の縁もこんなに濃いのは見たことないな。でも……」
矢島は懐疑的に言った。

「その闇は……川……? ――いや、死?」