銀の魔術師と還りし人々

16.夜警 03
あかりと夏葵がはっと顔を上げた。
気配が増幅する。
「起きた?」
「……ああ、おそらく」
空気が振動する。



――オンオンオンオンオンオン
――ウォンウォンウォンウォンウォンウォン



警戒心あらわな鳴き声。
気配は動いていない。が、そのまま動かないという保証はない。
夏葵はダウンジングのペンダントをポケットに突っ込んだ。
あかりはすでに駆け出している。
その背を追う。



――オンオンオンオンオンオン
――ウォンウォンウォンウォンウォンウォン



あかりが角に飛び込んだ。