銀の魔術師と捕縛の糸
5.纏わりつくもの 040夏葵と接触するたびに、何かあるとは感じていた。
――そう、特にさっき引っ張った時。
良くないものがある、と。
夏葵と対峙したあの一件で実力不足を感じていた利は、少しずつの精神鍛錬をするようにしている。
そして――違和感。
良くないものは、相当に微弱だ。だから今まで、あかりも利も気づかなかった。
夏葵が疲弊しているのは、感じ始めるずっと前から澱のように募っていったのだろう。
夏葵はもともと色が白いせいもあって、最初は気付かなかったのだ。
今は色が白いなんてものじゃない。血の気がないのだ。
ゲームを進めながら、どうしても気が散って夏葵の方に目が行く。
夏葵がいないのと利の気が散漫なので、ゲームの運びはよくない。
むしろ懸案事項が目の前に転がっているのに集中するのは無理な話だ。
ゲームはあと1分。
とりあえず、あかりが張り付いているので何かあったら勝手に対処はするだろうとは思っている。
あと50秒。
と、あかりがちらりと視線を寄越したのが分かった。
続いて、タイマーに。
何かあったのか。
夏葵があんな状態なので、あかりの機嫌は悪いし表情は曇りがちで、利もあかりの視線には敏感になっていた。
残り20秒を切ったところで、あかりが腰を上げた。何か思うところでもあるのか。
残り10秒、
9、
8、
7、
6、とカウントした瞬間、衝撃が襲った