銀の魔術師と孤独の影

4+.逆探索 01
ほっと息を吐いた。
集中が切れ、どっと疲労が押し寄せてくる。
ペンダントを首にかけ直し、体育館を出る。

――雲隠れ、もう解いてもいいだろうな。
そう思いながら廊下を歩く。屋上に荷物を置きっぱなしにしてあるので取りに行かないと。
――汝の加護、ここに終わりを告げん。かく成せ。
口の中で小さく呟くと同時に、現実から乖離していた自分が地についた錯覚を覚える。
それだけならよかったが――

突然、視界が陰った。
平衡感覚がなくなり遠近感がなくなり、床が正面に立ち、波打つ。

重い音を最後に意識は沈んだ。