銀の魔術師と孤独の影

4.探索 04 文章が入ります。

夏葵の現在の立ち位置より西にあるのは……特別教室棟と体育館。
とりあえずはひとつひとつ巡ってみるしかない。
ダウンジングをぶれさせないように気をつけながら、屋上のドアをそっと押した。



学校についた時点で自分に雲隠れを施してあるので、気兼ねなく廊下を歩く。
授業中の一種独特の雰囲気に包まれた校舎。
――静かだな。
いつも騒がしいのが嘘のようである。
そんなことを思いながらゆっくりとした足どりで特別教室棟まできた。
特別教室棟は1階に視聴覚室とコンピュータ教室、2階に芸術科教室、3階に理科講義室と被服室、4階に理科実験室と調理室がある。
ゆっくりと4階廊下を歩くが、反応がないので廊下端の階段を下りる。

3階……2階……1階……。

――反応がない。
残るは、体育館。

内心げんなりした。明桂は1学年350人超の生徒数を持つため体育館と、それに付随する更衣室が各3つずつある。
女子更衣室だったら厄介の極みだ。
どこかのクラスが授業中なのかキャーキャーわーわーと騒がしい。
その声を避けるように、夏葵は第一体育館に向かった。