銀の魔術師と孤独の影

3.凪夏葵 09
いつもより重い荷物を持って階段を上る。
いつも平たいかばんは今日から手の平以上の厚さが定番になるだろう。
屋上のドアは今日も朝から開いていた。そもそも鍵をかけているのかどうかも怪しい。
秋口の朝は風が冷たい
だからこそ、誰も来ない朝のうちに始めなければならない
警戒すべきは――まずは汐崎あかり、次に浅井利。

――まずは安全確保から。
文字の書き込まれたリボンをかばんから引き抜いた。