夢殿

Breaker 01
ああ、今日もこの夢だ。
囚人服を着た俺。
視界に広がるのは3方がコンクリートで1方に鉄柵の牢屋。
かつんかつんと、遠くで時々聞こえるのは看守の足音。
俺はそれらに囲まれながら、今日も目が覚めるのを待っていた。



こんな夢を見始めたのは、一体いつのことなのだろう。

まだほんの餓鬼だったころには見ていなかったはずだ。
日記なんて高尚な物はつけていないからはっきりはしないが、多分中学生になったころくらいだろう。
あのころ、俺は囚われているような気がしてならなかったからだ。
受験勉強だの、家だの、親だの、学校生活だの、社会だの、友人関係だの、校則だの、俺を縛るものばかりのような気がした。
別に、自由になりたいとか、干渉するなとか、声高に訴えるほどの不自由も感じていなかったから、そのまま流されてきただけだ。
でもそう感じている、というのは、夢の中で容赦なく付きつけられる毎日だった。
何にも出来ない自分。何にも許されない自分。
縛られていると感じても、結局はひとり。夢は常に、率直に示してくれる。
仕方ない、俺はもうこの社会のルールに諦めた。流されて生きるのが一番楽なのだ。こんなことで人生絶望するようなペシミストにはなりたくない。
でもきっと、抜け出すきっかけが与えられたら考えるだろう。

――今みたいに。