夢殿

静観者 01
坂だ。それも長くて真っ直ぐな。

通学路にも、私の行動範囲にもここまでいい坂はない。
行っちゃえ。そうだ、行っちゃえ。
2,30メートル下がる。
走って、助走をつけて、今日こそ行くんだ。

行け、行け、行っちゃえ。
さあ、踏み切るポイントは目の前だ。
今日こそ、あの見えそうなものを見るんだ。
あれは転がった先に見えるのだから。

さあ!



「だめっ!!」



突然誰かに、後ろから腕をとられた。