ボクと私と空中都市

1.猫の街 12
街が静かだ。
夕方に差し掛かろうとした時間帯、街の人たちは誰もが西の広場に集まっていた。
最後の橋が切り離される。
メロウはそれを、図書館の窓から見ていた。
「行っちゃうねえ」
「今更後悔?」
「ううん。もしかしたらまた行き合うかもしれないし」
レオはやっと本から顔を挙げて、窓を振り返った。
ちょうど今空中楼閣が――切り離される。
「ねえレオ君」
「何?」
レオは窓の外を眩しそうに見て、本に向き直った。
「レオ君の旅にさ、私もついて行っていい?」
「…………」
「だめ?」
「だめではないけど」
今日はフードをかぶっていないレオが、頭をくしゃくしゃとかき回した。
「まあ、いいよ」
「うん、これからよろしくね」
メロウは窓に向き直った。
街の間には、たくさんの紙吹雪が舞っている。
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