夢殿

侵蝕屋 06
告別式――――そう書かれた看板が雨に濡れそぼっている。
人の出入りは少ない。

私はミーとレイと傘をさして、ただ道の反対から眺めていた。
誰も、一言も口を開かない。
誰も、ピクリとも動かない。
ただ、マナを待つためにここで立ちつくしている。

「都市伝説――」
レイが静かに口を開いた。
「――もとになる話があるから、出来るのね」
「……うん」

「これもきっと――」

都市伝説になるんだろう。あの、侵蝕屋という男の――
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