企画 2011/02/04

節分 「そら、好きなだけ食え。つか、片付けてくれ」
夏葵と香葵が気まぐれに神社を訪れると、なぜか山のようにピーナッツを盛られた。
「何だ?」
「見ればわかるだろ。ピーナッツ」
それはわかる、と夏葵と香葵は同時に突っ込んだ。
「何でこんなピーナッツがあるんだ」
奇しくも、昨日節分だった。余りにしては量が多い。
「一言で言うならあかりのせいだな」
「はあ?」
夏葵は首をひねった。

ようはこういうことらしい。
昨日突然柿ピーが食べたいとあかりが抜かして大量に買って来たはいいが、ピーナッツは年の数だけ食べて、あとはひたすら柿の種を消費しつくした。
ピーナッツはいらないから好きなだけ食えとの仰せ。
結果、夏葵と香葵の前に盛られたピーナッツだけの山。
少しずつ香葵が崩し始めたが、山がなくなるのはかなり先だ。
「ピーナッツって、食べてると喉乾いて飽きてくるんだよね」
「それなら豆違いでゼリービーンズでも盛ってやろうか。兄貴がどこからか貰ってきた奴が余ってる」
利が珍しく剣呑な光を目に宿して、ピーナッツの山を睨む。
「で、件のあかりは?」
「どっか行った」
ある意味いつものことである。
「てかさ」
お茶をすする香葵がのんびりと口を開く。
「人様に食いさしを始末させようとするあたりがすごいよね」
「まったくだ」
険しい顔と呆れ顔と、うなずいた3人に何とも言えない沈黙が下りた。